全国各地域で開催されるSDGs QUESTみらい甲子園(以下、「みらい甲子園」と称します。) を企画・総合プロデュースする株式会社TREEは、このたび、高校生向けに日本初の気候変動教育用の副教材である『気候行動探究ブック』を全国の約4,300校の高校に無料で配布しました。
みらい甲子園は、高校生が主体となり持続可能な地球と社会の未来を考え、行動するためにSDGsを探究し、社会課題解決に向けた行動を考える機会を提供し、そのアクションアイデアを発表・表彰する大会です。
社会課題解決へのアクションアイデアを発表・表彰する、SDGs QUESTみらい甲子園
新学習指導要領に記載されている「生きる力・持続可能な社会の担い手」を育てるために、SDGsを起点とした社会課題解決に向けた行動を推進するために、2019年度から始まりました。
今年度で5年目の開催を迎えるみらい甲子園は、全国32都道府県、19エリアで開催します。
みらい甲子園の広がりの下、身近な気候危機や、国連が目指す2025年気候変動教育の義務化を見据え「気候危機と呼ばれる今こそ、探究学習の中に気候変動教育の機会をより積極的に取り入れていこう」という趣旨のもと、『気候行動探究ブック』を賛同企業や専門家の協力の下でみらい甲子園の開催地域にあるすべての高校に無料で配布することが決定しました。
映像メディアと人材育成を通じて、人々の意識を変革するTREE
TREEでは、地球の環境危機や貧困、格差社会などの問題に関心を集め、人々の意識変革を実現するために、15年以上前からサステナビリティ社会実現に焦点をあて、映像メディアや人材育成を通じてビジネスと教育の変革に挑戦しています。
また、多様なセクターと連携しながら、SDGs目標達成に向けて普及啓発事業を推進してきました。
2006年より英国環境映像メディアGreenTVのパートナーとして、環境映像メディア「GreenTVJAPAN」を開設しました。これまでに1000本以上の国内外の環境と社会に関する動画を制作、配信し、世界中で発生している問題や解決を動画で紹介し、サステナブルな社会実現に向けて普及啓発に取り組んできました。
さらに、UNEPなど国連組織を含むWWFやIUCNなどの国際的なNGO、政府、企業などから協力を受け、その経験と世界中のネットワークを活用し、SDGsが採択された2015年9月の翌年2016年に持続可能な社会に向けた教育メディア「SDGs.TV」を開設しました。
▶次の時代を担う子供たちのSDGsに関する教育支援に注力。
弊社は、ユネスコが提唱する「ESDfor2030」の目標に合わせて、SDGs教材の開発から授業プログラムの実践的サポート、企業連携による教材の提供など、幅広いプロジェクトを実施しています。
小学校の教科書にSDGsが掲載された2020年には東京書籍及び日経BP社と教育アライアンスを締結し、SDGsの教育プラットフォーム「EduTown SDGs」 (https://sdgs.edutown.jp/) を企画し、3社連携の下で推進してきました。掲載されているコンテンツをまとめた『SDGsスタートブック』は、SDGs教育パートナー企業17社との協力により制作し、全国の小・中・高等学校に3年間で100万冊を希望する学校や児童に無償提供してきました。TREEでは、解説映像や企業の取り組み学習映像を担当しています。
また、SDGsの参加型普及啓発のために2018年度から3年連続で「SDGsクリエイティブアワード」(https://www.sdgs.world/)と題した映像コンテストを総合プロデュースしました。SDGsの普及啓発にはストーリーから伝わる映像が、一番有効性が高いとわかり、当時学校で使えるSDGs関連の動画が少ないことに対処するため、普及啓発や成功事例の発信を目的として、ストーリーを収集するためにこのイベントを開催しました。
そして同時に、2019年度から未来を担う高校生が行動を促すための教育の成果の発表の場として、「SDGs QUESTみらい甲子園」(https://sdgs.ac/)の開催を始めたのです。
人を繋いで広がり続ける、みらい甲子園の仕掛け
① 地域分散型開催の意図
これまでの一般的なコンテストは、通常、中央集中型で、一部の実行組織がマネージメントして開催されてきました。
しかし、みらい甲子園は、SDGsの理念「誰一人取り残さない」に基づいて、地方の中山間地域や離島の高校生たちも平等に参加し、フォローもしやすいように、地域分散型かつ地域主導の実行組織を各エリアに設立し、開催しています。
② SDGsパートナーシップ地域協働モデル促進の理由
さらに、メディアコンパクト署名企業が協力し、そのアクションを地域住民に広く伝える仕組みも、SDGsへの行動を促進する力をより多くの人々にもたらしています。同時に、メディアパートナーは地元高校生を支援したい企業による協賛方式を採用しており、メディア自身がみらい甲子園の運営に関与することで、持続可能な仕組みを見据え、拡大に貢献しています。
また、日本各地において賛同する大学教員や自治体職員、JICA、NGOなど多様なメンバーが関与して、ユースリーダーを育て伴走する教育事業は、学校だけでは突破し難い壁を取り除き、社会と学校をつなぐハブとしての役割を果たします。
③ 誰一人取り残さない教育格差への解消を目指す
準備委員会として、SDGs有識者、ESD専門家、現役教員にアドバイザーとして参加頂き、評価指標や推進モデルを開発しました。
2019年度の開催当初から、アドバイザーが策定した評価指標やレギューションに沿って、各地の実行組織が同一の基準でアイデアを評価し、公平性を担保しながらも、地域特有の課題解決策とアクションを引き出す仕掛けにより、「誰一人取り残さない」教育格差への解消を目指しています。
④ みらい甲子園の成果は想像より大きなインパクトと広がりをみせた
みらい甲子園は、2019年度にモデル地域として北海道と関西エリアの2エリアからスタートし、2020年度は4エリア、2021年度は6エリア、2022年度は11エリアとエリア数を拡大し、2023年度は19エリア32都道府県へと開催エリアを拡大してきました。また、地方自治体、大学、NGO、企業、メディアの専門家による、各エリアで実行委員会は、延べ200人を超える方々にサポートを受けています。
また、国連広報センターや文部科学省、各自治体、教員委員会などからの後援を受けながら、さまざまステークホルダーからの支援を受けて、高校生の持続可能性を推進するだけでなく、地域のステークホルダーと協力し、地域社会での社会実装の仕組みを作ることを目指しています。
参加した高校生は延べ10,000人以上で、2,500以上のSDGsアクションアイデアを生み出しました。
具体的には、日本の地域で廃棄される食料や部活動で廃棄される竹刀・ピンポン玉など、高校生自身の身近な素材を資源として循環させるアップサイクル商品の開発や環境再生農業の推進など、エシカルな商品開発などアイデアが豊富です。また、途上国支援、LGBTQの方々が暮らしやすい社会づくりなど多様なアクションアイデアが生まれており、世界を変える物語の種は数えきれないほどあります。
2022年度の大会終了後、協働パートナー企業の協力のもと、全国各地で開催された大会の最優秀賞および優秀賞を受賞したSDGsアクションアイデアを掲載した「2030探究新聞」を発行し、高校生や教員の皆様にとって非常に価値のある情報源となり、探究学習のテーマやSDGs学習のヒントとして活用いただくよう約4,300校に配布しました。
全国的に大会を広めていく最中、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス氏が進める3ゼロクラブ(CO2排出ゼロ、貧困ゼロ、失業者ゼロ)から声がかかり、2023年度には「3ZEROCLUBmeetsSDGsQUEST」というタイトルで、2022年度のみらい甲子園ファイリストチームの中から3ゼロに合致するアイデアを提案したチームとオンライン対談、日本外国特派員協会でのリアル対談を実施しました。
参加した高校生からは、「環境保全や社会問題の解消は、個人では出来ないがゆえに他人事だと思われがちです。ですが、ユヌス博士から講評をいただき、個々人の関心が世界に繋がっているのだと再認識できました。」等前向きな意見もあり、今後も積極的に国内外のパートナーと共に高校生の発表の機会と発信を強化していきたいと感じた出来事でした。
⑤ ユースが未来を変える!
みらい甲子園に参加した生徒及び教員へアンケートを取ったところ、地域や事業との繋がり、学校外からのアドバイス、交流の場を求めている回答が多くありました。
五年目を迎えたみらい甲子園は初の全国交流大会を8月26日(土)にオンラインにて開催。2022年度最優秀賞受賞チームの交流の場として素晴らしいイベントとなりました。
本イベントは2019年から毎年地域で実行委員会と各地域メディアと共に開催してきたみらい甲子園初の全国交流会となり、参加した11の最優秀賞チームは、予め各地域の実行委員のアドバイスにより、各自のプランをブラッシュアップし発表を行いました。同世代からどれだけ共感を得られているかという視点で、2022年度みらい甲子園全国未開催エリアより15の高等学校の協力で総勢100名の高校生が予めプレゼン動画を視聴して投票。さらに7名のアドバイザーによる投票に加えて、当日は本年度初開催地域の各実行委員長等が熱いプレゼンテーションを審査し加算採点を行い、グランプリが決定しました。グランプリに輝いたのは、鹿児島県立種子島高等学校による、試行錯誤を繰り返しながらも廃棄されたパッションフルーツ殻から和紙を作る事に成功し、商品化した地域循環事業のSDGsアクションプランです。また、全国交流会の後半には「高校生の視点で考える、大阪・関西万博で世界に発信したいこと!」をテーマに、エリアを越えて高校生同士の交流の場を設け、参加された高校生からは、他校との交流の実現、発信すること、発信を聞けたことに対して喜びの声がありました。
みらい甲子園は2025年に開催される万博会場にて全国交流大会を目指しています。
⑥ 世界のユースが立ち上がった気候危機へのアクション
■Forest for Future「ユース未来の森」
気候変動対策並びに生物多様性保全を目的に、2022年度からは『SDGs QUESTアクションアイデア最優秀賞・優秀賞』受賞の2チームには、副賞としてユース未来の森に植樹していただく権利を進呈。
社会課題の解決に熱心に取り組む高校生の手によるミズナラの植樹を継続していきます。
今年度は、見事全国交流会でグランプリを獲得した、鹿児島県種子島高校から生徒が来道し、近隣の高校生と共に植樹し、ユース未来の森を育てていきます。
⑦ 気候危機に立ち向かう高校生を応援するためにアクションブックを発行
地球で最も暑い夏を迎えた2023年。世界は山火事や洪水、干ばつなど気候変動による大きな自然災害が世界中で猛威をふるいました。
日本もゲリラ豪雨や連日の真夏日による、他人事では終わらない身近に感じられる気候変動。
私たちTREEは気候変動教育を全国に進めていくために、副読本を企画・発行しました。
高校生の「問う力」を養う。未来の教育に向けた展望
さてジェネレートAIを迎えた今、教育の改革は急務です。弊社は、学校枠を超えた交流が必須と考えています。AI社会の中だからこそ求められる創造性や想像力、また一番大切とされる探究を通じた社会の課題発見力を今の高校生に発見する着眼点や想像力から生まれる「問う力」が養えれば、AIを味方に解決策を見つける機会と繋がる。その社会を見据えて新しい教育の展望を多くのステークホルダーと共に!
100万人をアクションに導く為に、私たちTREEのストーリーはまだまだ続けて挑戦していきます。
若い世代が希望溢れる未来を自身で創り上げる社会を目指して。