みらい甲子園を通じた探究学習のねらい

DXによる社会変革が進み、デジタル等成長分野を支える人材育成の充実が課題となっています。文部科学省が進める高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)に採択された学校は1,000校を超えました。これからの教育においてAIやICTが学習環境を大きく変えていくことは間違いなく、こうした環境の変化や社会変革が進む中、自己の学習目標や進路、進学について悩みを抱えながら、日々の授業に向き合う高校生も少なくありません。


  1. パーパスドリブンラーニング(目的志向学習機会の創発)

    みらい甲子園に参加した高校生たちのアンケートを見ると、みらい甲子園の参加が「自己の成長につながった」と回答する高校生が年々増えています。地域や世界の課題を探究し、その課題解決に向き合い学習したプロセスで「自分のやりたいこと」や「進路」が明確になったという声も多く寄せられています。

    これから生成AIが本格的に社会に浸透していく中、これまでの知識ベースの学習から主体的な探究学習に学習目標が発展し、「問う力」や「多面的な想像力」、「仮説を検証していく力」などが求められていきます。
    学習指導要領では「生きる力を育む」重要性が示されています。みらい甲子園はコンテストに出て賞を取ることをゴールとするのではなく、探究学習を通してチームで議論したり、課題解決に向けて行動する中でマイパーパスを発掘し、学習の喜びを高めていくことをゴールとしており、まさに「生きる力を育む」仕組みといえます。

    目的志向学習は、個人が教育や学習を通じて「何を達成したいのか」、「どのような目標を設定しているのか」に焦点を当てます。みらい甲子園の学習活動や教育プロセスも個人の目標や価値観、その人が追求する目的にフォーカスしています。さらに、みらい甲子園は15歳から17歳の若者が自分の可能性やパーパスを発見できる機会を提供することも重要視しており、そこに参加を促す意義と目的を置いています。

                
  2. 協働学習機会の創発

    みらい甲子園は、学校の枠を超え地域社会の組織と繋がり、実践的な対話や協働を促すことを目標としています。目的志向学習は、高校生たちが自らのアクションアイデアの目標を達成するための手段であり過程です。成果の達成は、未来に向けて個人やチームに自信や充実感をもたらし、これからの学習の意欲をさらに高めることができます。
    目的志向学習を取り入れることで、自己肯定感や自己効力感を高めることができ、長期的に学習成果を向上させることが期待できます。特にみらい甲子園では、2名~6名のチーム編成を前提にしていることから、1人で考えるのではなく、チームで多様な意見を取り入れ、議論することで、社会が求める「協働する力」を育むことができます。

    みらい甲子園に参加した高校生や教員のアンケート結果によると、探究学習において学校外の有識者や専門家、企業の方々との意見交換や対話を求める声が多く、みらい甲子園のファイナリストチームの多くは、学校外で様々な組織や企業と対話し意見交換し、多くの気づきと学びを得ています。
    みらい甲子園への挑戦は、担当教員の指導の下、挑戦や失敗を恐れず社会課題に向き合い、学び続ける姿勢を育みます。それは長期的な学習成果と成長につながり、進路・進学の選択にも大きな影響を与え、大学の総合選抜入試においても評価されることでしょう。
    SDGsネイティブである今の高校生は、自らが興味、関心を持つテーマや分野を選択し探究することで、学習へのモチベーションを高めることができます。興味を持って仲間と探究に取り組むことで、学習することの楽しさを発見し、それは継続と成長につながります。

    みらい甲子園へのエントリーをきっかけに、これらのアプローチを継続的に取り入れることで、目的志向学習の促進やマイパーパスの発掘、長期的な学習成果の向上が可能です。私たちはこれからの未来を切り拓く力を「フューチャーリテラシー」と定義します。

                
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  4. 誰一人取り残さないために

    みらい甲子園は、探究学習を通じてすべての高校生が地域の組織とつながり、自己の可能性を最大限に引き出せる環境を提供するため「地域分散型」で開催しています。公平性を担保するため、評価指標やレギュレーションをアドバイザーが策定し、それに添って各地の実行組織が同一の基準で高校生のアイデアを評価し、地域特有の課題解決策とアクションを引き出す仕組みをつくり「誰一人取り残さない」教育格差の解消を目指しています。
    すべての高校生が社会的、経済的、地理的な背景に関わらず、平等に学習機会を享受し、成長できるよう支援します。多様な高校生が参加することで、異なる視点や経験が共有され、より豊かな学びの場が形成されます。
    みらい甲子園は、すべての高校生が共に学び、協力し合いながら、誰一人取り残されることなく前進できる社会の実現を目指しています。

    ▶未来を探究するコンテスト
    2025年、SDGs QUESTみらい甲子園は、FUTURE QUESTみらい甲子園に!

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  6. 創造性とイノベーションの育成に向けて

    日本では、かつてのように世界をリードする新しい技術や創造性溢れる産業を生み出すイノベーション人材が少なくなってきています。
    FUTURE QUESTは、高校生に向けた創造的な取り組みを奨励し、新しいアイデアやイノベーションを促進するプラットフォームを目指しています。このコンテストの参加と挑戦は創造性やイノベーションの育成に貢献し、将来のリーダーや起業家の育成に繋がります。
    FUTURE QUESTは、社会的課題や持続可能な開発目標SDGsに取り組む高校生たちを支援し、多くの実行委員や多様なセクターと連携し社会貢献の機会を提供します。このコンテストが高校生たちの社会的責任や持続可能な未来への貢献意識を高め、高校生のアイデアは日本だけではなく世界に対してもポジティブな影響を与えることができます。
    FUTURE QUESTは、あらゆる組織からの協力や協働を重視し、チームワークやコミュニケーション能力の向上を促進します。
    グローバルな課題に高校生が協力し取り組むことで、視野を広げ、グローバル人材の育成にも貢献します。

    FUTURE QUESTの魅力と意義を世界に広めることで、多くの高校生や教育機関、企業や自治体にその価値と貢献度が認知されることを信じています。

  7. 未来に向けた生涯学習へ

    みらい甲子園は、理論や知識だけではなく、高校生が学習の中で実践的なスキルや能力を獲得することを重視しています。高校生たちが学んだことを実際に家庭や地域で活かすことで、社会やビジネスの課題に対処し解決する能力も育成します。
    みらい甲子園は、参加した高校生たちが自己実現や社会への貢献を果たすための力を伸ばし、目的に向かって意味ある学びを提供する革新的な教育モデルを目指しています。


    みらい甲子園総合プロデューサー
    水野雅弘