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郷土愛を育む、未来への投資

“ESD.”持続可能な開発のための教育は、サステナブルな社会を目指す上で基盤となる学習活動のひとつである。

昨年国連で合意された持続可能な開発目標(SDGs)全ての目標達成に向けて、ESDはまさにそれを支える教育環境を整えるエンジンと言えるかもしれない。世界の経済発展は今後、環境、社会との調和を保つ人々のグリーンリテラシーがベースとなったものでなければならない。

 

treeが制作したESD映像

 

 

MDGsから受け継いだ先進国を含む全世界の行動指針となるこのSDGsは、グローバルな共通目標でありながらも、ローカルな社会課題や問題の解決に向けた目標設定としても重要である。

 

例えば、林業、漁業などでは、高齢化だけでなく後継者難が差し迫る中で、森は荒廃し、漁業就労者が著しく減少している。森が荒れると水産資源も枯渇し、さらには温暖化による海水温の上昇も一因とされる沿岸漁業の漁獲高の減少――など、地域にはSDGsに関連した課題が山積している。

 

子ども自身が発見する自然資本価値

 

 

私は長年、TREEやグリーンエデュケーションで環境省や自治体と連携したESD授業を企画してきた。SDGsが国際目標として掲げられた今、ESDにもSDGsの目標達成に向けた役割が求められるだろう。

 

それは地域の持続的な発展のための投資としてESDを行うということ。子どもたち自身が地域を知るための調べ学習を通じて自然資本価値を認識し、ローカルな循環社会を作りあげていく創造性と共生力や多様性を育みながら、地元を愛する心に種を蒔く投資である。

 

今こそESD投資を!教育政策×人口対策

 

今、日本は次期学習指導要領の導入を控えた教育改革を進めていこうとしているが、一番大切なのはこれまでの競争社会に勝ちうる精神を鍛えることよりも、共創社会に向けた自立・共生の精神を地域から学ぶことである。

 

アクティブラーニングの軸は、地域特性に応じたプログラムデザインを組み、未来社会に柔軟に対応できる”しなやかな人材”の育成が目指されるべきだろう。

 

それこそが、実は今、地域の自治体が必死にUIJターン移住定住を進めている政策に代わる効果的な長期投資なのである。

10歳から15歳くらいの現実的、抽象的思考が交差する年齢の時に地域の魅力や価値を共に学び、課題を価値に変えていくプログラムの成果は未来を見据えた10年後のUターン率を高めるための投資と考えるべきだろう。

 

2030年のローカルビジョンの基本計画に、こうした10年後を見据えた本質的な教育投資を盛り込んでいきたいものである。

 

これこそ次の10年におけるESDの理念を設計する上でとても大切な視点、地域協働型事業のコンセプトを見つめ直し、そして次期ふるさと学習指導要領を作り上げ、それに積極的に取組む自治体が誕生して欲しいと願う。

 

(水野雅弘)